Erlotinibでgefitinib耐性の癌性腹膜炎の症状が改善した1例
長島 修a 八戸 敏史a 筒井 敦子a 藤本 雄一b 岩瀬 彰彦a 高橋 和久b
a順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター呼吸器内科
b順天堂大学医学部呼吸器内科
症例は57歳,男性.肺腺癌に対して右上葉切除,リンパ節郭清および下葉肺内転移の部分切除を施行(pT1N0M1 stage IV).上皮増殖因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)遺伝子の変異(exon 18 G719X)を認めた.術後1年目に右癌性胸膜炎を再発しgefitinib投与を開始し胸水は減少した.3ヶ月後に胸水の再貯留を認めgefitinib耐性と診断.胸膜癒着後に各種殺細胞性抗癌剤を使用したが,十分な効果が得られず癌性腹膜炎も発症しADLが低下した.癌性腹膜炎に対してerlotinib投与を開始したところ腹水量が減少し,ADLも改善し自宅での療養が可能となった.その後短期間で転移性肝癌を発症したが,erlotinib投与で,gefitinib耐性後に発症した癌性腹膜炎による腹水のコントロールに成功した症例を経験した.
エルロチニブ ゲフィチニブ 肺腺癌 癌性腹膜炎 上皮増殖因子受容体
Received 19 Mar 2012 / Accepted 1 Jun 2012
連絡先:長島 修
〒136-0075 東京都江東区新砂3-3-20
順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 2(1): 49-52, 2013