癌関連網膜症を随伴した肺大細胞神経内分泌癌の1例
井坂真由香 窪田 哲也 酒井 瑞 山根 高 大西 広志 横山 彰仁
高知大学医学部血液・呼吸器内科
症例は62歳,女性.徐々に悪化する視力障害を自覚し,原因不明の網膜症と診断された.胸部CTにて右肺S10に結節陰影を認め,気管支鏡検査より肺大細胞神経内分泌癌と診断した.眼症状については臨床経過より癌関連網膜症と診断した.肺小細胞癌に準じた化学放射線治療を行い,腫瘍は縮小したが,眼症状の大きな改善はみられなかった.癌関連網膜症は非常にまれな病態でその多くは肺小細胞癌に随伴するが,肺大細胞神経内分泌癌に随伴した報告は調べた範囲でこれまでにない.原因不明の視力障害を認めた場合には,悪性腫瘍の存在を疑う必要がある.
Received 14 Mar 2012 / Accepted 5 Jul 2012
連絡先:窪田 哲也
〒783-8505 高知県南国市岡豊町小蓮185-1
高知大学医学部血液・呼吸器内科
日呼吸誌, 2(1): 39-43, 2013