特異な気管支内腔所見を呈した乳癌肺転移の1例
宮本 牧a,* 赤川志のぶa 田村 厚久a 鈴木 純子a 益田 公彦a 蛇澤 晶b
a独立行政法人国立病院機構東京病院呼吸器疾患センター
b同 臨床検査科
*現 東京都立多摩総合医療センター呼吸器科
症例は50歳女性,持続する咳嗽,喀痰,腰痛を主訴に来院した.胸部X線写真で両下肺野に線状影,胸部コンピュータ断層写真(CT)で肺野末梢の粒状影と小葉間隔壁の肥厚を認めた.気管支鏡検査で,気管末梢から右中葉支口にかけて光沢のある白色半隆起性病変が多数みられ,気管支生検では上皮下のリンパ管内と間質に柵状配列を呈して浸潤する腺癌を認めた.腫大した右腋窩リンパ節生検より,エストロゲン,プロゲステロンレセプターともに陽性の腺癌を認めたことから,乳癌と診断した.乳腺には腫瘤を認めなかった.本例は気管支鏡検査が診断の端緒となった乳癌occult cancerで,その気管支病変が特異な内視鏡所見を呈したことから,貴重と思われ報告する.
Received 28 Dec 2011 / Accepted 13 Mar 2012
連絡先:宮本 牧
〒204-8585 東京都清瀬市竹丘3-1-1
独立行政法人国立病院機構東京病院呼吸器疾患センター
日呼吸誌, 1(6): 531-535, 2012