サルコイドーシスの経過中に非ホジキンリンパ腫および肺小細胞癌を発症した1例
黒崎 史朗a 坂東 政司a 中山 雅之a 山沢 英明a 福嶋 敬宜b 杉山幸比古a
a自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
b同 病理診断部
症例は55歳,女性.33歳時に肺門リンパ節腫大と間質性肺炎を指摘され,経気管支肺生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,眼病変とあわせてサルコイドーシス(サ症)と診断された.新規の他臓器病変の出現はなく,眼病変は経過観察され,肺病変も進行は認められなかった.48歳時に非ホジキンリンパ腫を発症,約2年の化学療法により完全寛解となった.55歳時に左肺下葉に径20 mmほどの結節が出現し,CTガイド下生検にて肺小細胞癌と診断,化学療法で部分寛解が得られたが,肺小細胞癌の診断から約2年で死亡した.サ症の悪性腫瘍合併の報告として悪性リンパ腫または肺癌の報告は散見されるが,両者を合併した報告はまれであり,貴重な症例と考え報告する.
Received 2 Dec 2011 / Accepted 5 Mar 2012
連絡先:黒崎 史朗
〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311-1
自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
日呼吸誌, 1(6): 520-525, 2012