巨大肺腫瘤影を呈した成人T細胞白血病/リンパ腫の1例
江﨑 紀浩a 松本 充博a 須加原一昭a 浦本 秀志a 濱本 淳二a 興梠 博次b
a国立病院機構熊本再春荘病院呼吸器内科
b熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器病態学分野
症例は81歳,女性.健診の胸部X線写真にて右中下肺野に巨大な腫瘤影を認め,精査加療目的にて熊本再春荘病院呼吸器内科紹介入院となった.自覚症状はなく,胸部CT上,右S4に径35 mm,右S8に径51 mmの腫瘤影を認めた.血液検査にて,adult T-cell leukemia virus associated antigen-antibody(ATLA-Ab)8,192倍,可溶性interleukin-2(IL-2)受容体5,852 U/mlと高値を示したため成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia lymphoma:ATLL)を考え,CT下肺生検を施行した.その結果,細胞診にて核の切れ込み多分葉化を示す細胞が認められ,病理組織所見にて中等大の異型リンパ球の増殖,cluster of differentiation 4(CD4)陽性,CD25強陽性,CD30陽性,anaplastic lymphoma kinase(ALK)陰性所見が得られ,ATLLと診断した.巨大な腫瘤性病変を呈するATLLの症例はまれであり,診断に重要と考え報告した.
Received 24 Nov 2011 / Accepted 15 Mar 2012
連絡先:江﨑 紀浩
〒861-1102 熊本県合志市須屋2659
国立病院機構熊本再春荘病院呼吸器内科
日呼吸誌, 1(6): 508-513, 2012