嚢胞性病変を伴ったimmunoglobulin G4関連肺疾患の1例
中本啓太郎a 高柳 昇a 柳澤 勉a 清水 禎彦b 河端 美則b 杉田 裕a
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b同 病理診断科
症例は39歳男性.2010年11月に喀痰,咳嗽,胸部異常陰影を主訴に埼玉県立循環器・呼吸器病センターを紹介受診.胸部CTで多発する嚢胞,粒状影,結節影とすりガラス影を認めた.血液検査では血清immunoglobulin G(IgG)とIgG4が上昇していた.経気管支肺生検で診断に至らなかったため,嚢胞のある右下葉S6に対し外科的肺生検を行った.検体には嚢胞性病変が認められ,多数のIgG4陽性形質細胞浸潤が認められたことからIgG4関連肺疾患と診断した.自覚症状は自然に改善したため現在無治療で経過観察中である.IgG4関連疾患に伴う肺病変は胸部CTで結節影やすりガラス陰影,広義の間質肥厚を呈することが多く,嚢胞を伴うことはまれである.嚢胞を呈する疾患の鑑別において,IgG4関連肺疾患も考慮する必要がある.
Received 18 Oct 2011 / Accepted 17 Feb 2012
連絡先:中本 啓太郎
〒360-0105 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 1(6): 487-491, 2012