Weber-Christian病の経過中に発症した悪性中皮腫の1例
今林 達哉a 河野 能士a 伊達 紘二a 石野 秀岳b 田宮 暢代a 岩崎 吉伸a
a京都府立医科大学呼吸器内科
b同 膠原病・リウマチ・アレルギー科
症例は62歳の男性.Weber-Christian病の経過中に右胸水が出現した.局所麻酔下胸腔鏡検査で右壁側胸膜に多発する結節を認め,生検にて上皮型悪性中皮腫と診断した.病歴聴取上,明らかな職業性アスベスト曝露歴はなかった.全身状態不良につき化学療法は適応外と考え,胸水の対症療法に胸膜癒着術を実施した.腸間膜脂肪織炎に合併したアスベスト曝露歴のない悪性中皮腫の報告は1例みられるが,全身の脂肪織炎であるWeber-Christian病に合併した例は我々が検索した範囲ではみられない.慢性の脂肪織炎が悪性中皮腫の発症に関与した可能性が考えられ,報告した.
Weber-Christian病 悪性中皮腫 脂肪織炎 アスベスト曝露
Received 9 Sep 2011 / Accepted 23 Feb 2012
連絡先:今林 達哉
〒602-8566 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465
京都府立医科大学呼吸器内科
日呼吸誌, 1(6): 476-480, 2012