剥離性間質性肺炎様所見が併存したIgG4関連肺疾患の1例
岩本 信一a 大朏 祐治b 神田 響a 須谷 顕尚a 久良木隆繁a 礒部 威a
a島根大学医学部内科学講座がん化学療法教育学呼吸器・化学療法内科
b財団法人永頼会松山市民病院病理部
症例は50歳男性.乾性咳嗽を主訴に受診.胸部単純X線写真で両側下肺野を中心に網状・粒状影を指摘された.確定診断のため胸腔鏡下肺生検を施行した.当初は剥離性間質性肺炎に併存した非特異的間質性肺炎と考え,緑内障治療中であったため副腎皮質ステロイド投与は行わず,禁煙を開始したが失敗し,画像所見の増悪とKL-6の上昇を認めた.その後,血清IgG4高値で,IgG4陽性形質細胞の著明な肺浸潤を指摘されたため,眼科で経過観察しながらプレドニゾロン内服を開始.画像所見とKL-6高値は改善傾向を示した.以後は外来で漸減し再増悪なく経過中である.総合的に本例は,重喫煙者でみられた剥離性間質性肺炎様所見が併存した,IgG4関連肺疾患の1例と診断した.貴重な症例であるため,文献的な考察を加えて報告する.
Received 12 Aug 2011 / Accepted 7 Mar 2012
連絡先:岩本 信一
〒693-8501 島根県出雲市塩冶町89-1
島根大学医学部内科学講座がん化学療法教育学呼吸器・化学療法内科
日呼吸誌, 1(6): 470-475, 2012