在宅緩和ケアを導入した肺癌患者における在宅死に関連する因子の検討
東口 将佳a 平島 智徳a 合屋 将b 鈴木 秀和a 橋口由起子c 岩田 香c 中村 幸枝c 大森由佳理c 樋野 仁美c 川瀬 一郎a
a大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター肺腫瘍内科
b同 緩和ケア科
c同 看護部
癌による死亡は日本における死因の第1位であり,癌死のなかで一番多いものが肺癌である.多くの末期癌患者は在宅死を希望するが現状では病院死が多く,在宅医療の整備の遅れや患者および介護者の不安が原因の可能性がある.本研究では在宅死に影響する因子を明らかにすることを目的とし,大阪府立呼吸器・アレルギー医療センターで在宅緩和ケアを導入した肺癌患者を後ろ向きに解析した.2009年1月から2011年3月までに当院から在宅緩和ケアを導入した患者91症例を同定したところ,観察終了日までに死亡した78症例のうち在宅死亡は31症例であり,在宅死亡率は39.7%であった.本人の在宅死の希望,家族の在宅死の希望は,いずれも強く在宅死を促進する因子であった.中心静脈ポートも,在宅死を促進する因子である可能性が示唆された.
Received 12 Dec 2011 / Accepted 5 Mar 2012
連絡先:平島 智徳
〒583-0872 大阪府羽曳野市はびきの3-7-1
大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター肺腫瘍内科
日呼吸誌, 1(6): 458-463, 2012