イトラコナゾール内用液が著効した慢性壊死性肺アスペルギルス症の2例
福島 大起 萩原 恵里 西平 隆一 小松 茂 加藤 晃史 小倉 高志
神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科
症例1は59歳男性.肺結核治療後で左肺空洞が残存し,治療終了8ヶ月後に咳嗽・血痰が出現した.症例2は49歳男性.Mycobacterium kansasii症治療後で右肺尖部空洞が残存し,治療終了1ヶ月後に咳嗽・血痰が出現した.2症例で症状の出現とともに胸部CT上,空洞内の菌球・空洞周囲浸潤影の出現を認め,症例1はアスペルギルス抗原・抗体陽性,症例2は喀痰培養でのAspergillus fumigatusの検出およびアスペルギルス抗体陽性と合わせ,慢性壊死性肺アスペルギルス症と診断した.イトラコナゾール内用液はカプセル製剤と比較し,高い血中濃度が得られることが判明しており,また両者の経済的負担を考慮し,イトラコナゾール内用液を選択した.2例とも症状は消失し,画像所見の改善が得られたため約8ヶ月間で治療終了とした.2例ともに軽度の副作用は認められたが,治療継続は可能であった.同内用液は,慢性壊死性肺アスペルギルス症の第一選択薬となりうる可能性があると考えられる.
Received 22 Nov 2011 / Accepted 31 Jan 2012
連絡先:福島 大起
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神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 1(5): 434-438, 2012