巨大脾腫および汎血球減少を合併し脾臓摘出術を施行したサルコイドーシスの1例
福崎 幸治 井上 純人 野間未知多 阿部 修一 柴田 陽光 久保田 功
山形大学医学部内科学第一(循環・呼吸・腎臓内科)講座
症例は44歳女性.9年前よりサルコイドーシス(サ症)の診断を受け,経過観察中であった.健診で貧血を指摘され,前医での精査で脾腫と血小板減少を指摘されていた.その4ヶ月後より微熱,咳嗽があり前医を受診したところ汎血球減少が認められたため,当院へ紹介となった.骨髄穿刺では血液疾患を認めず,サ症に伴う巨大脾腫および脾機能亢進に伴う汎血球減少と考えられ,巨大脾腫は破裂の危険性が高いと想定された.血小板減少が著しく血小板輸血でも回復がみられなかったために,一時的にステロイド治療を行った後に脾臓摘出術を行った.その後汎血球減少は改善した.摘出された脾臓からは,サ症による肉芽腫様病変を認めた.サ症は脾腫を合併する例も報告されているが,脾機能亢進を伴うような例はまれとされている.本症例のような病態に対しては,短期間ステロイド治療および脾臓摘出術は考慮されるべきである.
Received 7 Nov 2011 / Accepted 19 Jan 2012
連絡先:井上 純人
〒990-9585 山形市飯田西2-2-2
山形大学医学部内科学第一(循環・呼吸・腎臓内科)講座
日呼吸誌, 1(5): 424-428, 2012