気管支結核再発の1例―気管支狭窄による特殊性に関して―
関根 朗雅 角田 義弥 田中 徹 谷田貝洋平 林 士元 斎藤 武文
国立病院機構茨城東病院呼吸器内科
症例は48歳男性で,46歳時に肺結核症の診断にて治療歴がある.今回,胸部異常影を契機に肺結核の再発が疑われ,当院へ紹介入院となった.入院時の胸部CT画像では,右中葉と左上葉に散布性粒状影を認めたが,初回治療時には右上葉に散布性病変を認めるのみであった.複数回の喀痰・胃液検査が陰性であったことから気管支鏡検査を行ったところ,右上葉入口部に発赤を認め,B1入口部は白苔で覆われ高度に狭窄していた.同部位の気管支洗浄液で抗酸菌塗抹・結核菌PCR陽性と判明し,初回治療時を含め気管支結核症であることが確認され,後に多剤耐性と判明した.肺結核症の再発様式は最も菌量の多い初発病巣部位に起こるとされ,初発病巣の陰影悪化で発見される頻度が高い.しかし,気管支結核の再発では,初発気管支病巣の狭窄・閉塞により,他肺葉への吸い込みを契機に発見され得ることに注意が必要である.
Received 31 Oct 2011 / Accepted 10 Feb 2012
連絡先:関根 朗雅
〒319-1113 茨城県那珂郡東海村照沼825
国立病院機構茨城東病院呼吸器内科
日呼吸誌, 1(5): 418-423, 2012