プロラクチン産生下垂体腺腫性高プロラクチン血症に合併したリンパ脈管筋腫症の1例
浜口 玲央*,a 前島 新史b 久保田雅子a 清水 久実a 若木 美佐a 小山田吉孝a
*現所属:武蔵野赤十字病院呼吸器科
a独立行政法人国立病院機構東京医療センター呼吸器科
b同 研究検査科
症例は42歳女性.29歳よりプロラクチン産生下垂体腺腫のためテルグリドを投与されていたが,35歳より妊娠・出産のため服薬を中止していた.離乳後もテルグリドは再開せず,高プロラクチン血症の状態が続いていた.2009年5月より右側腹部の腫瘤を自覚し,胸腹部CTにて腎に脂肪成分および偽動脈瘤を内包する多房状腫瘤がみられ,肺野には大小さまざまな薄壁嚢胞が多数認められた.経気管支肺生検を施行し,病理組織学検査および免疫組織学的検査よりリンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis:LAM)と診断した.プロラクチンはLAMに促進的に働く可能性があることが報告されている.本例はプロラクチン産生下垂体腺腫による高プロラクチン血症が長期間持続しているがLAMの進行は非常に緩徐であり,臨床的にはLAM細胞に対するプロラクチンの増殖促進作用が顕著ではない症例と考えられた.
リンパ脈管筋腫症 プロラクチン産生下垂体腺腫 閉経 無月経 高プロラクチン血症
Received 18 Apr 2011 / Accepted 7 Feb 2012
連絡先:浜口 玲央
〒152-8902 東京都目黒区東が丘2-5-1
武蔵野赤十字病院呼吸器科
日呼吸誌, 1(5): 388-393, 2012