非小細胞肺癌患者のゲフィチニブによる肝機能障害に対するプロヘパール®錠の有効性
糸谷 涼 竹村 昌也 井上 大生 高松 和史 石床 学 鈴木 進子 松本 正孝 櫻本 稔 福井 基成
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院呼吸器センター
非小細胞肺癌の治療薬であるゲフィチニブ(gefitinib)の副作用として約11%に肝機能障害が認められるが,その対処法は定まっていない.この肝機能障害に対し,慢性肝疾患治療薬である肝水解物複合製剤(プロヘパール®錠)を使用し,その有用性を検討した.2007年11月から2010年5月の間に,ゲフィチニブ投与中にGrade 1以上の肝機能障害(ALT 45 U/L以上,AST 41 U/L以上)を認め,プロヘパール®錠を投与された患者10名を対象とし,その効果を後ろ向きに検討した.プロヘパール®錠投与後,8例でALT,7例でASTの低下を認め,そのうち3例ではゲフィチニブの減量・休薬を行わずに改善した.また他の3例ではゲフィチニブの減量・休薬も行ったが,プロヘパール®錠の併用にて,肝機能の再悪化なくゲフィチニブの投与量を戻すことができた.以上よりプロヘパール®錠がゲフィチニブによる肝機能障害に有効である可能性がある.
ゲフィチニブ プロヘパール®錠 肝水解物複合製剤 肝機能障害 非小細胞肺癌
Received 28 Jul 2011 / Accepted 14 Feb 2012
連絡先:糸谷 涼
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公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院呼吸器センター
日呼吸誌, 1(5): 369-373, 2012