胸腔鏡下肺生検にて診断した偽性肺胞性サルコイドーシスの1例
多賀 収a 中村さつきa 伊藤 雄二a 秋山 崇b 吉原 正b 西山 理c
a総合大雄会病院呼吸器内科
b同 呼吸器外科
c近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
31歳男性.胸部X線写真で,両肺に一部air-bronchogramを伴う斑状の浸潤影と両側肺門部リンパ節腫脹を指摘され,紹介受診.胸部CTでは縦隔リンパ節腫脹や両肺に,斑状に肺胞性浸潤影様の陰影と周囲の微細粒状影を認め,血清ACEや可溶性IL-2レセプター,SLX,NSE,気管支肺胞洗浄液リンパ球比率・CD4/CD8比の高値,心エコーの心室中隔基部菲薄化,201タリウム心筋シンチグラフィーの前壁中隔・下壁の集積低下などを認めた.肺胞性浸潤影様の陰影の鑑別のため胸腔鏡下生検を施行し,サルコイドーシス(サ症)と診断した.粒状影が集簇し含気がなくなり肺胞性浸潤影様の陰影を認めるサ症は偽性肺胞性サ症(pseudoalveolar sarcoidosis)と表現され,少ないながら報告されている.胸部CT上,周囲の微細粒状影を伴う肺胞性浸潤影様の陰影を認めた場合は,サ症を鑑別の一つに挙げるべきと考えられた.
Received 3 Aug 2011 / Accepted 13 Jan 2012
連絡先:多賀 収
〒491-8551 愛知県一宮市桜1-9-9
総合大雄会病院呼吸器内科
日呼吸誌, 1(4): 349-353, 2012