原発性シェーグレン症候群に伴うcellular bronchiolitisの1例
齋藤 香恵a 谷野 功典a 佐藤 俊a 田崎 和洋b 蛇澤 晶c 棟方 充a
a福島県立医科大学医学部呼吸器内科
b福島県立医科大学附属病院病理部
c独立行政法人国立病院機構東京病院臨床検査部
症例は67歳女性.1998年の検診で胸部異常陰影を指摘され,2000年に他院にてびまん性汎細気管支炎と診断された.マクロライド系抗菌薬などで加療されてきたが自覚症状や画像所見が年々増悪傾向であったため,2007年6月に福島県立医科大学呼吸器内科に紹介となった.胸部X線写真では両側の中下肺野中心に粒状影,胸部CTでは右S4,左右S8-10優位に小葉中心性の粒状影,中葉・舌区にはconsolidationや気管支拡張像も認めた.口腔内乾燥感,抗SS-B抗体陽性,シルマーテスト陽性から原発性シェーグレン症候群と診断.肺病変の確定診断のため外科的肺生検を行った.病理所見では,終末細気管支およびより中枢の膜性気管支に著明なリンパ球の浸潤を認め,細胞性細気管支炎(cellular bronchiolitis)と診断,プレドニゾロンの経口投与を開始し画像所見や呼吸機能の改善を認めた.cellular bronchiolitisはステロイド治療が有効である可能性があり,原発性シェーグレン症候群の肺病変の鑑別診断として考慮すべきである.
原発性シェーグレン症候群 細胞性細気管支炎 IgG4関連肺疾患
Received 9 Feb 2011 / Accepted 20 Jan 2012
連絡先:谷野 功典
〒960-1295 福島市光が丘1
福島県立医科大学医学部呼吸器内科
日呼吸誌, 1(4): 304-310, 2012