慢性肺アスペルギルス症の予後因子の検討:ガラクトマンナン抗原値は予後推定に有用か
藤内 智a 堂下 和志b 高橋 政明b 山本 泰司b 武田 昭範b 西垣 豊a 藤田 結花b 山崎 泰宏b 藤兼 俊明b
a国立病院機構旭川医療センター臨床研究部
b同 呼吸器内科
慢性肺アスペルギルス症の予後因子を明らかにするために,アスペルギルス沈降抗体検査陽性によって臨床的に診断された慢性肺アスペルギルス症129例に対し,患者因子(年齢,性別,body mass index,基礎呼吸器疾患)および抗体陽性時の検査所見(真菌所見,ガラクトマンナン抗原値,β-Dグルカン値)と予後との関連性を検討した.その結果,診断時のガラクトマンナン抗原値が0.5以上の症例では,0.5未満の症例に比べ有意に生存期間が短く(p<0.01),死亡リスクも高かった(オッズ比2.94,p=0.007).他の因子と生存期間,予後の間に関連性は認められなかった.血清ガラクトマンナン抗原値は生体への侵襲性を反映していると考えられ,慢性肺アスペルギルス症の予後因子となりうる可能性が示唆された.
Received 7 Oct 2011 / Accepted 2 Feb 2012
連絡先:藤内 智
〒070-8644 旭川市花咲町7-4048
国立病院機構旭川医療センター臨床研究部
日呼吸誌, 1(4): 283-286, 2012