非結核性抗酸菌症との鑑別に苦慮した術後10年の子宮体癌肺転移再発の1例
宮本 信吾a 古畑 善章b 檜山 紀子b 石川 操c 熊坂 利夫c 武村 民子c
a日本赤十字社医療センター化学療法科
b同 呼吸器外科
c同 病理科
症例は72歳女性.1999年,子宮体癌に対し手術と術後全骨盤照射を行い,以後経過観察を行っていた.2009年の胸部X線検査で異常影を指摘され,気管支鏡検査等にて精査したところ,非結核性抗酸菌症や悪性腫瘍が疑われたが確定診断には至らず,2010年1月に左肺部分切除を施行した.病理組織の結果,子宮体癌肺転移と診断され,術後化学療法を行った.残存した右肺の小結節に対しても肺部分切除を施行し,現在disease freeを保っている.10年以上の経過で再発する子宮体癌肺転移症例は比較的まれであり,若干の文献的考察を加えて報告する.
Received 21 Oct 2011 / Accepted 20 Dec 2011
連絡先:宮本 信吾
〒150-8935 東京都渋谷区広尾4-1-22
日本赤十字社医療センター化学療法科
日呼吸誌, 1(3): 273-277, 2012