関節リウマチに対するメトトレキサート中止にて消失した肺原発悪性リンパ腫の1例
古口 華子a 竹内 裕a 菊地 英毅a 大泉 聡史a 松野 吉宏b 西村 正治a
a北海道大学医学部第一内科
b北海道大学病院病理部
症例は70歳,男性.2005年に関節リウマチと診断され,2008年よりメトトレキサート(methotrexate:MTX)の内服を開始した.2010年6月,健康診断で胸部異常陰影を指摘され,北海道大学病院第一内科初診.CTにて右肺S9に径5 cmの腫瘤性病変を認め,肺癌が疑われた.肺門縦隔を含めたリンパ節の腫大や遠隔転移は認められず,血清Pro-GRP,NSE,sIL-2Rが軽度上昇していた.病変から超音波気管支鏡(EBUS)下に経気管支生検を行い,悪性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma)の病理所見が得られ,肺原発の悪性リンパ腫と診断した.Epstein-Barrウイルス小RNA(EBER-1)は陰性であった.MTX投与を中止して経過観察したところ,10月のPET-CTにて腫瘍は消失した.
肺悪性腫瘍 免疫不全関連リンパ増殖性疾患 関節リウマチ 自然退縮
Received 20 Sep 2011 / Accepted 16 Dec 2011
連絡先:菊地 英毅
〒060-8638 北海道札幌市北区北15条西7丁目
北海道大学医学部第一内科
日呼吸誌, 1(3): 256-260, 2012