肺膿瘍44例の臨床的検討
宇留賀公紀a 花田 豪郎a 高谷 久史a 宮本 篤a 諸川 納早a 岸 一馬a,b
a国家公務員共済組合連合会虎の門病院呼吸器センター内科
b冲中記念成人病研究所
2001年11月〜2010年6月に,虎の門病院呼吸器センター内科に入院した肺膿瘍44例を検討した.性別は男性37例,女性7例,年齢中央値は60歳,基礎疾患として歯周病を20例(45.5%)に認めた.原因菌の診断率は,CTガイド下穿刺(68.4%)やエコーガイド下穿刺(100%)が,喀痰検査(16.2%)や気管支鏡検査(10%)より高かった.原因菌は18例(40.9%)で,のべ43株が同定され,嫌気性菌が55.8%,好気性菌が44.2%であった.好気性菌ではStreptococcus anginosus groupが6例(14%)で最も多かった.また,複数菌による感染は,12例(66.7%)で認められた.嫌気性菌とS. anginosus groupは1例を除いて,CTガイド下穿刺により検出された.全例が抗菌薬により軽快した.肺膿瘍の原因菌の検査方法として,CTガイド下穿刺は有用であると考えられた.
肺膿瘍 嫌気性菌 Streptococcus anginosus group CTガイド下肺穿刺
Received 26 Aug 2011 / Accepted 5 Dec 2011
連絡先:宇留賀 公紀
〒105-8470 東京都港区虎ノ門2-2-2
国家公務員共済組合連合会虎の門病院呼吸器センター内科
日呼吸誌, 1(3): 171-174, 2012