繰り返し経気管支肺生検を行い診断しえた血管内大細胞型B細胞リンパ腫の1例
今橋由美子a,b 上地 隆史b,c 大谷 恭子b,d 新村 直子b 鍋谷大二郎b 藤原 寛b
a大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器病態制御内科学
b淀川キリスト教病院呼吸器センター
c 京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻薬剤疫学分野
d富山大学附属病院外科病理学講座
67歳女性.主訴は発熱と労作時呼吸困難.胸部computed tomography(CT)で両肺尖部にすりガラス陰影を認め,血液検査でlactate dehydrogenase(LDH),C-reactive protein(CRP)の上昇を認めた.気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage:BAL)および経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy:TBLB)を施行したが,診断に至らなかった.肺血流シンチグラフィーですりガラス陰影の部位に血流の低下をみたため再びTBLBを施行したところ,血管内大細胞型B細胞リンパ腫と診断され,化学療法により寛解を得た.血管内リンパ腫は診断が難しい疾患であるが,積極的にTBLBを行うことで,診断ができる症例があることに留意する必要がある.
Received 5 Aug 2011 / Accepted 7 Nov 2011
連絡先:今橋 由美子
〒545-8585 大阪市阿倍野区旭町1-4-3
大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器病態制御内科学
日呼吸誌, 1(2): 162-164, 2012