好塩基球活性化試験が原因薬剤の同定に有用であった葛根湯による薬剤性肺障害の1例
花田 豪郎a 宇留賀公紀a 高谷 久史a 宮本 篤a 黒崎 敦子b 岸 一馬a
a 国家公務員共済組合連合会虎の門病院呼吸器センター内科
b同 放射線診断科
症例は69歳女性.3週間前に感冒症状に対して葛根湯を内服したところ,乾性咳嗽と労作時呼吸困難が出現し,徐々に悪化するため,虎の門病院呼吸器センターを受診した.入院時に低酸素血症と血清LDH,KL-6の上昇を認め,胸部CTでは,両肺に多発する斑状のコンソリデーションを認めた.経過および検査所見より薬剤性肺障害と考え,第2病日よりステロイドパルス療法を行い,速やかに症状,画像所見,低酸素血症の改善が得られた.薬剤リンパ球刺激試験,さらに好塩基球活性化試験を施行し,それぞれ葛根湯に対して陽性を示したため,同薬剤による薬剤性肺障害と診断した.葛根湯による薬剤性肺障害は2例目である.本症例では,原因薬剤の同定に,好塩基球活性化試験の有用性が示唆された.
薬剤性肺障害 漢方薬 葛根湯 薬剤リンパ球刺激試験 好塩基球活性化試験
Received 2 Jun 2011 / Accepted 22 Sep 2011
連絡先:花田 豪郎
〒105-8470 東京都港区虎ノ門2-2-2
国家公務員共済組合連合会虎の門病院呼吸器センター内科
日呼吸誌, 1(2): 135-140, 2012