経気管支肺生検で診断し3年間観察しえたpulmonary epithelioid hemangioendotheliomaの1例
野口 真吾 矢寺 和博 西田 千夏 川波 敏則 石本 裕士 迎 寛
産業医科大学病院呼吸器内科
症例は18歳,男性.自覚症状はなし.健康診断での胸部X線写真にて数mm〜1 cm大の多発結節影を指摘されたために,産業医科大学病院呼吸器内科を受診した.経口抗菌薬を投与されたが陰影は改善せず,血痰が出現したため,精査目的で同科に入院した.入院後,気管支鏡検査にて左S5より経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy:TBLB)を施行し,病理所見にて細胞質内の空胞形成や空胞内に赤血球を認める,核異型性が増した腫瘍細胞を認めた.免疫染色では,これらの腫瘍細胞は血管内皮マーカーであるCD31,CD34,factor VIIIがいずれも陽性であったことから,pulmonary epithelioid hemangioendothelioma(PEH)と診断した.PEHは非常にまれな疾患であるが,TBLBで確定診断に至った症例の報告はこれまで国内外を含め3例のみである.若干の文献的考察を加えて報告する.
Received 23 May 2011 / Accepted 8 Nov 2011
連絡先:野口 真吾
〒805-0855 福岡県北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1
産業医科大学病院呼吸器内科
日呼吸誌, 1(2): 124-128, 2012