良き呼吸器科指導医としての理想像の検討―研修医の専門領域選択因子のアンケート結果―
田中 淳一a 坂上 拓郎a 各務 博a 高田 俊範a 成田 一衛a 鈴木 栄一b
a新潟大学医学部呼吸器内科学分野(第2内科)
b新潟大学医歯学総合病院医科総合診療部
臨床研修医が専門分野を選択する際,指導医の影響が大きいと報告されている.昨今,呼吸器科医師不足が指摘され,呼吸器科を志望する医師を増やすことは急務である.研修医が進路を選択する際に,何を重視するのかを明らかにし,またその過程における指導医の影響を評価する目的で,臨床研修医,若手呼吸器科医師にアンケート調査を行った.その結果,選択時に重視する点は,やりがい,医学的な興味に続き,良き指導医の存在であった.一方で,研修医1年次と2年次で,また研修医と若手呼吸器科医師で,選択時に重視する点,理想の指導医像に差異が認められた.本調査を通して,多くの臨床研修医が呼吸器科を選択するためには,呼吸器科のやりがいを伝え,興味を喚起する努力をし,研修医の経験・志向に応じ指導の仕方を変化させ,そのうえで若手呼吸器科医が目指す全人的診療を行う「良医」をロールモデルとして認識させることが必要であることが示唆された.
Received 10 Aug 2011 / Accepted 13 Oct 2011
連絡先:田中 淳一
〒957-8588 新潟県新発田市本町1-2-8
新潟県立新発田病院呼吸器内科
日呼吸誌, 1(2): 107-113, 2012