サルコイドーシスと原発性肺癌を合併した6症例の臨床的検討
緒方 彩子 前山 隆茂 濵田 直樹 横山 哲也 鈴木 邦裕 有森陽二郎 麻生 達磨 原田 英治 髙山 浩一 中西 洋一
九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
今回我々は,サルコイドーシスと原発性肺癌を合併した6例について臨床的特徴を検討した.男性3例,女性3例で,肺癌診断時の平均年齢は63.8歳であり,4例に喫煙歴を認めた.4例はサルコイドーシスの診断と同時期に,他2例は5年4ヶ月後,22年後に肺癌が発見された.5例は肺実質もしくはリンパ節より,1例は皮膚生検より非乾酪性肉芽腫が証明され,全例サルコイドーシスの組織診断群であった.肺癌診断時,肺門部リンパ節腫脹を4例に認め,2例は両側性,2例は片側性だった.fluorodeoxyglucose positron emission tomographyは5例で行われていた.肺癌は5例が下葉,1例は上葉に発生し,組織型は腺癌4例,肺胞上皮癌1例,小細胞癌1例であった.肺癌の病期を決定するために,肺門リンパ節に対する超音波気管支鏡ガイド下針生検あるいは胸腔鏡下リンパ節生検が2例で施行されていた.サルコイドーシスに肺癌を合併した場合,画像検査のみでのN因子評価は困難であり積極的な組織検査が重要と考えられた.
Received 27 Jun 2011 / Accepted 13 Oct 2011
連絡先:前山 隆茂
〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1
九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
日呼吸誌, 1(2): 95-101, 2012