肝膿瘍からの直接進展がCTで確認された肺アメーバ症の1例
a東京都立多摩総合医療センター呼吸器科
b同 救急診療科
症例は32歳,HIV陽性の男性同性愛者.CD4陽性細胞数は65/μlで,抗レトロウイルス治療は受けていなかった.1週間続く赤褐色の喀痰を主訴に当科を受診.来院4ヶ月前から発熱と解熱を繰り返し,右肩痛が1ヶ月持続していた.胸部CTでは,肝,横隔膜下,肺に連続する膿瘍の形成を認めた.赤痢アメーバ抗体が陽性で,アメーバ肝膿瘍の横隔膜穿破,肺穿破と診断.メトロニダゾールを13日間内服し,横隔膜下腔に挿入したチューブからは大量の赤色膿汁がドレナージされた.抗菌薬治療2年後の受診時にも全身状態は良好で,CTでも膿瘍の再発はみられなかった.
赤痢アメーバ 肺膿瘍 アメーバ性肝膿瘍 横隔膜下膿瘍 肺アメーバ症
Received 22 Mar 2011 / Accepted 14 Sep 2011
連絡先:村田 研吾
〒183-8524 東京都府中市武蔵台2-8-29
東京都立多摩総合医療センター呼吸器科
日呼吸誌, 1(1): 83-87, 2012