インフルエンザ菌性縦隔肺門リンパ節炎の1例
田中 陽子a 田子謙太郎a 楢林 朋子a 鈴木 夕子a 佐々木義明a 大野喜代志b 奥村 好邦c 長谷川誠紀d
a大阪厚生年金病院内科
b矢木クリニック
c市立伊丹病院呼吸器外科
d兵庫医科大学呼吸器外科
症例は40歳男性.腰背部痛で当院救急外来を受診し,その際のCTで胸部異常陰影を指摘され,精査のため当科外来を受診した.咳や発熱などは認めなかったが,CT上中間気管支幹に沿ってリンパ節と一塊となった腫瘤影を認めた.positron-emission tomography(PET)で同部位に一致した集積を認め,肺癌などの悪性腫瘍のリンパ節転移やリンパ節結核等が疑われた.しかし,精査するも診断に至らず,超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration:EBUS-TBNA)を施行したところ,病変部より膿が吸引され,リンパ節炎と診断した.培養結果より,Haemophilus influenzaeが主な起炎菌と考えられた.H. influenzaeによる孤立性縦隔肺門リンパ節炎は,我々が検索した限りでは認められず,まれな症例と考えられたため報告する.
縦隔肺門リンパ節炎 インフルエンザ菌 超音波気管支鏡ガイド下針生検
Received 14 Jun 2011 / Accepted 8 Sep 2011
連絡先:田中 陽子
〒553-0003 大阪市福島区福島4-2-78
大阪厚生年金病院内科
日呼吸誌, 1(1): 73-77, 2012