非典型的皮疹と急速進行性間質性肺炎で発症した抗CADM-140抗体陽性の皮膚筋炎の1例
日比野 真a 西口 翔b 赤澤賢一郎a 引野 幸司a 大江 元樹a
a茅ヶ崎徳洲会総合病院 呼吸器内科
b湘南鎌倉総合病院 総合内科
49歳男性.1ヶ月前から発熱,易疲労感,労作時息切れを自覚し,肺炎に対し抗菌薬加療を受けたが改善せず当院を受診.抗菌薬に高用量ステロイド投与を併用したが酸素化は増悪した.近位筋力の軽度低下・疼痛,筋原性酵素高値,全身性炎症反応高値,頬部紅斑,内眼角の浸潤性紅斑,爪周囲・爪下出血を認め,胸部CTで両側浸潤影とすりガラス影を,筋電図では筋原性変化を呈しており,ステロイドパルス療法,シクロホスファミドパルス療法,シクロスポリン持続静注療法を追加したが,人工呼吸器管理となり第12病日に死亡した.剖検肺はびまん性肺胞障害のパターンを呈し,抗CADM-140抗体は陽性であった.非典型的皮疹のみで発症しており,皮膚筋炎の初期診断に難渋した1例であった.皮膚筋炎は多様な皮疹を呈し,致死的な間質性肺炎を合併することも多く,その早期診断・治療に同抗体が有用であると考えられたため報告する.
急速進行性間質性肺炎 皮膚筋炎 抗CADM-140抗体 爪下出血 内眼角紅斑
Received 12 Apr 2011 / Accepted 25 Aug 2011
連絡先:日比野 真
〒253-0052 神奈川県茅ヶ崎市幸町14-1
茅ヶ崎徳洲会総合病院 呼吸器内科
日呼吸誌, 1(1): 27-34, 2012