血清アスペルギルス沈降抗体検査症例の臨床的検討
安藤陽一郎a 北里 裕彦b,c 田尾 義昭b 松永 和子c 伊勢 信治b 高田 昇平b 久保田 緑a 星野 友昭c 川崎 雅之b 相澤 久道c
a国立病院機構福岡東医療センター臨床検査部
b同 呼吸器内科
c久留米大学医学部内科学呼吸器・神経・膠原病内科部門
2009年2~12月に国立病院機構福岡東医療センターでAspergillus immunodiffusion system(Microgen Bioproducts Ltd., UK)のキットを用いて血清アスペルギルス沈降抗体検査を施行した症例について,沈降線を認めた症例(「あり」例)における沈降線数や診断名,また偽陽性や偽陰性の頻度などについて検討した.「あり」例24例中,沈降線数が2本以上を示した21例のうち16例は慢性肺アスペルギルス症(chronic pulmonary aspergillosis:CPA)であったが,偽陽性が疑われる症例を4例認めた.沈降線を認めなかった症例99例中85例が非アスペルギルス症症例であったが,初回検査時に偽陰性を示したCPA症例も4例みられた.非アスペルギルス症を対照としたCPAにおける本検査について,陽性判定基準を沈降線数2本以上とすれば感度78.9%,特異度95.6%など最良の結果を示した.
Received 28 Feb 2011 / Accepted 25 Aug 2011
連絡先:北里 裕彦
〒811-3195 福岡県古賀市千鳥1-1-1
国立病院機構福岡東医療センター臨床検査部
日呼吸誌, 1(1): 3-8, 2012