COVID-19による急性呼吸促迫症候群の治療後に発症した侵襲性肺アスペルギルス症の1例
黒岩 裕也a,b 茂木 充a 梅津 和恵a 高野 峻一a 竹村 仁男a 前野 敏孝b
a公立藤岡総合病院呼吸器内科
b群馬大学医学部附属病院呼吸器・アレルギー内科
症例は78歳女性,COVID-19により急性呼吸促迫症候群を発症した.ステロイド療法で呼吸不全は軽快したが,ステロイド漸減中に空洞を伴う多発肺結節が出現した.入院時よりアスペルギルス抗原陽性で,経過中にβ-D-glucanが上昇したことより,侵襲性肺アスペルギルス症と診断し,ボリコナゾール(voriconazole:VRCZ)投与で軽快した.重症COVID-19では,侵襲性肺アスペルギルス症を合併し予後不良となることがあるため,入院早期より,アスペルギルス抗原,β-D-glucanをスクリーニングする必要がある.
新型コロナウイルス感染症 侵襲性肺アスペルギルス症 COVID-19関連肺アスペルギルス症 急性呼吸促迫症候群 ステロイド療法
Received 18 Sep 2021 / Accepted 27 Dec 2021
黒岩 裕也
〒371–8511 群馬県前橋市昭和町3–39–15
群馬大学医学部附属病院呼吸器・アレルギー内科
日呼吸誌, 11(2): 82-86, 2022