PVL陽性市中感染型MRSA肺炎に対しVV-ECMOを含めた集学的治療を要した1例
a日本医科大学付属病院外科系集中治療科
b山梨県立中央病院高度救命救急センター
c日本医科大学付属病院医療安全管理部感染制御室
生来健康な66歳女性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)による重症肺炎のためveno-venous extracorporeal membrane oxygenation(VV-ECMO)を導入した1例を経験した.適切な抗菌薬の投与と全身管理を継続したが,壊死性肺炎とそれによる肺膿瘍をきたし永眠された.分離されたMRSAは遺伝子解析により市中感染型MRSAと判明,さらにPanton-Valentine leukocidin(PVL)遺伝子も検出された.市中感染型MRSAかつPVL産生性の株はわが国では少ないが,今後散発されると考えられるため報告する.
市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 Panton-Valentine leukocidin(PVL) Veno-venous extracorporeal membrane oxygenation(VV-ECMO)
Received 26 Aug 2020 / Accepted 25 Nov 2020
池田 督司
〒113–8603 東京都文京区千駄木1–1–5
日本医科大学付属病院外科系集中治療科
日呼吸誌, 10(2): 153-157, 2021